経営者向け茶道体験会に学ぶ

三菱グループの岩崎久弥氏、パナソニック創業者の松下幸之助氏、京セラ創業者の稲盛和夫氏

戦前生まれの大経営者に共通することは何でしょうか。

私も最近知りましたが、実業家茶人と言われるほど茶道に精通した方々です。

ということで教養の一つとして、経営者向けの茶道体験会に参加しました。

茶道家の小山宗匡先生の茶室「案安庵」(横浜市)に行ってきました。

まず、茶道は女性が行うものというイメージが近代になって作られたものだということを学びました。明治期に女子教育の一環として茶道が取り入れられたことで美しい所作、礼儀作法が重視されるようになりました。

つまり、それまでは男性が主体の世界だったそうです。

☆経営者の創造性を高める場

今回の体験会では礼儀作法や所作ではなく、茶道の哲学的側面を学びました。

茶道は禅宗の考え方とも融合しており、自己と向き合うことを重視しています。

具体的には四規(和敬清寂)と利休七則と言われる考え方です。

和やかで清らかで自然体でいることができているかを見つめる時間は経営者にとって有意義です。

ここで一つの格言を思い出しました。

「三上」です。中国の古い格言で良い考えが浮かぶのは3つの場所で馬上、枕上、厠上です。現代では移動中・寝転んでいるとき、トイレということになります。共通点はリラックスした状態です。

良い考えはリラックスした状態でしか生まれません。

茶席は格式ばったイメージも付いてしまっていますが、本来は自然体でリラックスできる場でもあります。

良い発想を生む時間として茶席を活用することは経営者にとって有効です。実は案安庵の主人である小山先生は化粧品メーカーの開発職としてお勤めをされていた方で日々、新商品アイディアの創出をミッションにしていた方です。案安庵という名前も心を安んじて案(アイディア)を生む庵(いおり)という意味が込められているそうです。

☆長所に目を向ける場

多くの経営者は仕事ができる方々です。一方で従業員の働きに対し不満を感じている方も多いです。従業員の能力や姿勢に対し、厳しい目で見てしまい、時には叱責してしまうこともあるでしょう。

茶道には花入れという竹製の道具があります。その中でも「園城寺」という花入れが有名で東京国立博物館にあるそうです。何のことはないひび割れた竹の小物です。しかし、千利休はそれを見てひびの入った園城寺の鐘(天下の三銘鐘のひとつ)を連想し、そう名付けました。何のことはないひび割れた竹細工です。しかし、千利休はそこに価値を見出しました。

企業などの組織には様々な人がいます。一見仕事ができなさそう、役に立たなそう、周囲に劣っていそうな人もいるでしょう。しかし、それを欠点のあるつまらないものと見るか、周囲の人にはない特徴(特長)と見るかはリーダー次第です。人材(人財)を生かすも殺すもリーダー次第、ひび割れた竹細工に価値を見出した千利休のごとく。

一見、劣っているもの、つまらないものから長所を見つけ出す。そんな修練を行う場を提供してくれるのも茶道の魅力の一つのようです。

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